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大雪が降ったあとに・・市民参加を進めるファシリテーション

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【ファシリテーション~実践と学びの日々】⑤は、「市民参加を進める」がテーマです。

 大雪が降った後の近所での出来事です。あまりの雪の多さに、最初の内は行政主体の重機による除雪に期待し、待てど来ない除雪車に不満や不安の声も出ていました。

 1日経ち、2日経つうちに、誰からともなく「自分たちでやらなくちゃ」「こういうときはお互い様」の声が起こって、地域の人々が三々五々と集まって、声を掛け合いながらなごやかに雪かきをするようになりました。

町内で雪かき

 みんなで、こつこつと雪かきをするうちに、「重機が入らにゃ無理」「人力では不可能」と思われていた雪かきが、いつの間にかできていました!

雪かき前後

 ファシリテーションとは、広い意味では「人々の活動が円滑に行われるように、中立的な立場から支援をすること」です。

 「トップダウン」「指示命令」「俺について来い!」型のリーダーや、やり方を教えるティーチャー(教師)がいなくても、雪が降り始めた日から率先して黙々と雪かきをしていた人々や、自分の家への通路だけではなく近所の家の前や道路まで除雪していた人々、声を掛け合い道具を貸し合っていた人々が、自然発生的な無意識のファシリテーションをしていたのかもしれませんね。

 ファシリテータをしてありがちなのは、「自分が仕切らなくちゃ!」「自分で答えを出さなきゃ!」と力んで場を支配しようとすることです。すると、必ずのようにメンバーから「あんたがやれば」と反発をかったり、「関係ないや」とやる気をそいだりします。

 「空気のような存在が、理想のファシリテータ」と言う人もいるくらいです。

空気

 だいぶ前置きが長くなったですが、そろそろ本題の【市民参加を進めるファシリテーション】に入ります。イメージしやすいように、ファシリテータ仲間が行なったある地域の自治会での「地域の人々を元気にし、地域活動をパワーアップする会」の事例からポイントをご紹介します。

・一方的な講演会ではなく、参加者が知り合ったり、話し合ったりする時間もある「参加型」にする。
・参加型の場合は、会場はできるだけゆったりと空間を取り、椅子や机が自由にレイアウトできるようにする。
・参加型に慣れない人が多いので、プログラムは詰め込まないようにし、ひとつのワークにたっぷり時間を取る。
・同じ地区でも意外と話したことがない人が多いので、まずは「知り合う」ことから始め、次に「話し合う」ようにする。

・導入では講師紹介を親しみやすくし、地元ネタや最新の話題などを使って共感を持ってもらい、緊張を和らげる。
・アイスブレーク(緊張をほぐす簡単なワーク)を兼ねて自己紹介ゲームから始める。
・自己紹介の内容は指定したほうが話しやすい。例えば「①名前・住まい、②今の気持ち、③最近はまっていること、④この会に期待すること」を紙に書いてから話す。

・「手をあげる」「席替え・移動・交代する」「歩きながら出会った相手と話す」など、動きを入れる。
・まずはファシリテータがやって見せてから、参加者にやってもらう。
・一人で書き、二人で話し合い、参加者が慣れてきたところで、グループの話し合いに入る。(△いきなりグループだと話しにくい)

宮城町公民館

・話しやすいテーマから始めて、場が温まったら本題に入る。
・「不満や要望」は脇に置いて、「自分たちにできること」を話し合ってもらう。(「なぜできない!」ではなく「どうやったらできるだろう?」)
・グループでの話し合いが終わったら、全体で共有する。(例えば、各グループの希望者に発表してもらう)

 ここまでで参加者の話し合いは終わり、ファシリテータからメッセージを伝えます。
「地域活動の核はコミュニケーションです。お互いにお声を掛けることから始めましょう」
「地域を自分の家と考えて、住みよくするためにじぶんのできることからやりましょう」

 これは【市民参加を進めるファシリテーション】のひとつの例です。また、上の写真は私がファシリテータをした地元の中山間地の公民館での参加型セミナーです。話を聞くだけと思って参加した方々が、たいていの場合は、たくさん話せたことで満足し、お互いに知り合えたことを喜んでくれます。(中には「何十年も自治会で一緒だが、こんなに話したことはなかった」という方もいらっしゃいます。)

 雪かきの例もそうですが、今、地域の力を活かすことが注目されています。地域の力とは、人と人とのつながりの力だと思います。まず、お互いが知り合い、集い語り合い、コミュニケーションをすることが大切です。そのためには、ファシリテーションが有効です。

※参考書籍「ファシリテーション 実践から学ぶスキルとこころ」鈴木まり子・他著

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